今の時代に寄り添い続ける、1200年以上の歴史を持つお寺。
三恵寺(さんねじ)
川棚温泉街入口の交差点から、県道261号線を東北東に車で1.3kmほど進むと、左手の大きな池を過ぎた右急カーブ付近に、左へ折れ曲がる細い道があります。
その先にある細い坂道を車で上り、参拝者用の駐車場から徒歩で70m。
すると、凛とした静寂の中に、「三恵寺」の本堂と大きな庫裡(くり)が見えてきます。
806年(大同元年)に創建されたお寺ですので、その歴史は、なんと1200年以上。
本堂の柱には、「飛来山三恵寺」と「川棚温泉開基」の文字が刻まれています。
実は、このお寺、川棚温泉の発祥と深い関係があるのです。
応永年間(1394~1428年)のあるとき、このお寺を中興させた高名な僧侶であった怡雲(いうん)和尚は、日照りと疫病に苦しむ人々を助けたい一心で祈りを続けていました。
するとある晩、その枕元に薬師如来が現れ、この土地を守っていた青龍の伝説と人々の病気を治した不思議な温泉の物語を告げたというのです。
「怡雲和尚が、怪我をした動物が浸かっていた川棚の沼を触ってみると、水が温かった。病に苦しむ人々を癒やすため、この温泉を発掘することを決意し、村民の協力のを得て川棚温泉を開基したと伝えられています」。
ご住職がそう語ってくれました。
ほかにも見どころが多いお寺なのです。
ご本尊の「千手観音」(山口県指定重要文化財)は、70年に一度しか開帳されない秘仏。
予定どおりだと、次は、2077年ということになります。
本堂の左手には、参拝者を見守るように立つ「ぼけ封じ観音」が。
「世の中にある“心のぼけ”による苦しみや不安、特に、お年寄りの不安や寂しさをお救いくださる」とのことでした。
さらに、歴史好きにはたまらないスポットも。
幕末に活躍した公家の尊王攘夷論者・中山忠光の潜伏していた部屋が、庫裏(くり)の屋根裏にあるのだそう。
「山奥のお寺だが、気軽に立ち寄って、ゆったりと過ごしてほしい」とは、ご住職のお言葉。
実際に、本堂の天井には、信者さんたちが描いた絵(中には、アニメキャラやハリウッド女優の絵も。)が並んでいます。
とても気さくで優しさが滲み出ているご住職は、光市のお寺のご住職も兼ねていますので、「見学を希望する場合は、事前に連絡してほしい」とのことです。