
川棚温泉の“まんなか”に、人が集う茶屋
湯町ノ茶屋
湯町ノ茶屋は、川棚温泉街の中心に佇む小さな茶屋です。しかし、その佇まいの奥には、単なる飲食店という枠を超え、この場所ならではの想いや役割が込められています。
「湯町ノ茶屋」という名前は、かつてこの場所が“湯町の広場”として人々が集い、子どもたちが遊び、祭りが催されていた歴史に由来しています。あえて「ノ」をカタカナにしたのは、昭和・大正期のノスタルジックな空気感を表現するためです。新しいものを持ち込むのではなく、この土地に根づいた時間や記憶を、今の形でそっと編み直す――そのような姿勢が、店名そのものに表れています。
お店を始めるきっかけとなったのは、ここで長く地元に愛されてきたパン屋が閉店したことでした。「空き物件のままにしておくのは、あまりにも寂しい」。その想いとともに、川棚温泉という場所が持つ可能性が背中を押してくれました。海・山・温泉が近く、暮らしと訪問が共存できる環境。都市部からのアクセスも良く、外から来る人を受け入れてきた土壌がある。ここだからこそ、「茶屋」という形がしっくりきたのです。
湯町ノ茶屋が大切にしているのは、飲食を通じた“地域との接点”です。アイスクリームや抹茶スイーツをきっかけに、「この地域にはこんな素材がある」「こんな過ごし方ができる」と、自然に気づいてもらうことを目指しています。観光客にとっては川棚温泉を知る入口となり、地元の人にとっては、ふと立ち寄れる居場所になる。その両方を、無理なく繋ぐ存在でありたいと考えています。
看板メニューのひとつが、季節ごとに変わるアイスクリームです。ラベンダー×ミルク、いちご×ローズマリー、柑橘×ミントなど、地域の素材とハーブを組み合わせたフレーバーが並びます。抹茶ラテや抹茶フロート、抹茶クリーム団子、冬にはぜんざいなど、「茶屋」と聞いて思い浮かべる安心感のあるメニューも揃えています。
川棚温泉は、いわゆる観光地型の温泉街とは少し異なります。暮らしの中に温泉があり、人が住み、日常が流れている場所です。湯町ノ茶屋もまた、賑わいを“つくる”というより、緩やかな流れの中に溶け込む存在でありたいと考えています。足湯や広場、周辺のお店とともに、少しずつ人の動線が生まれていく。その変化を、同じ場所で見守り、育てていく感覚です。
「開いてくれてありがとう」「寂しくならずに済んだ」――地元の人から掛けられたそんな言葉が、この場所が再び“広場”になり始めていることを実感させてくれました。世代を越えて人が集い、何気ない会話が生まれる光景。それこそが、湯町ノ茶屋が目指してきた姿にほかなりません。
湯町ノ茶屋は、川棚温泉をただ通り過ぎるのではなく、立ち止まり、知り、好きになるための入口です。今日も変わらず、暖簾を掲げてみなさまをお迎えしています。

湯町ノ茶屋でぜひ注目したいのが、地元の食材を使ったオリジナルのアイスクリームです。 ラベンダーやいちご、柑橘類、ハーブなど、季節ごとに出会える素材を組み合わせ、その時期ならではの味わいを丁寧に形にしています。ただ甘いだけではなく、「この地域にはこんな素材があるんだ」と自然に気づかせてくれるのも魅力のひとつです。アイスクリームを通して、川棚温泉・豊浦の風土や豊かさを感じられる点も、このお店ならではの特長です。









